スポーツ少年団も全国大会中止を検討
発端の記事
2022年4月22日、朝日新聞にこんな記事がありました
日本スポーツ協会(JSPO)は22日、理事会を開き、JSPOが主催するスポーツ少年団の全国大会の中止を検討していることを明らかにした。今年度中にも結論を出す予定だ。
朝日新聞デジタル(https://www.asahi.com/articles/ASQ4Q6H5LQ4QUTQP01R.html?iref=sp_spotop_feature1_list_n)から抜粋引用
(略)
スポーツ少年団は、全国に約2万8千団体あり、スポーツを中心に約600種類の活動をしている。登録者数は小学生を中心に約57万人。全国大会は、軟式野球、剣道、バレーボール、サッカー、ホッケーの5種目で行われてきた。それぞれの中央競技団体には中止を検討中であることを伝えているという。
最初に中止を言い出したのは…
これ、中止と言っても、新型コロナウイルス関連じゃないんです。そもそも、「行き過ぎた勝利至上主義が散見されるため」というのが理由だそうです。
確かに、言われてみればそうだなぁ、という気がします。
自分が小学生でバレーボールをプレイし始めた頃は、運やらチームメイトやらコーチやらに恵まれ、結成2年目で全国大会(当時はライオンカップと呼ばれていました)に出場し、国立代々木競技場の体育館のコートに立てました。勝利至上主義というより、全国大会が目標だったんです。全国制覇はできませんでしたけど。
で、最初に中止を決定したのは、「全日本柔道連盟」なんです。先ほどの理由で、小学生の個人戦の全国大会を廃止すると、発表がありました。これが、2022年3月のことです。スポーツ庁長官である室伏さんも、
早い段階から全国大会をやることに意義があるのか
スポーツ庁長官である室伏さんの発言
という意見を言っています。
先日も
某高校のサッカー部で、体罰があったということが話題になりました。すでに削除されているようですが、ツイター上で動画を目にした方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この「行き過ぎた勝利至上主義」というのは、往々にして、コーチングに影響を及ぼします。そして、その影響の多くは「うまくプレイできない選手への体罰(暴力)や暴言」となって、顕著に表れます。
私が公認コーチ1の資格を取るために受けた研修でも、「パワハラは決してしてはいけない」ということを、3日間で何度も言い聞かされました。にも関わらず、全国のスポーツの現場では、日常的に行われているというのが事実であったりもします。現に何度もそのような現場を目にしてきました。
日本スポーツ協会(JSPO)としても、これを阻止したい、という強い思いがあるのかもしれません。
わたしの意見
難しいですね。正直難しいです。
でも、スポーツってそもそも「できなかったことができるようになる、というのを、子供でも体験できる」とか、「そのできるようになる、という成功体験を積みやすい」という側面もあると個人的には思っています。バレーボールであれば、「昨日は打てなかったアタックが、今日はキレイに打てるようになった」とか「昨日は上げられなかったAクイックトスを、今日はうまく上げられた」とかですね。このような成功体験を、小学生でもわかりやすく体験できる、というのがあるかと思います。なので、この側面から見れば、勝ち負けはあまり問わない、という結論になります。
でも、同じ練習するなら、「試合に勝つ」というわかりやすい目標を置いた方が、上達するのが早いのも事実です。ただ漫然と無目標で練習していても、そううまくなるものではありません。小学生でもわかりやすい、「試合に勝つ」とか「勝ち続けて全国大会に出場する」という、チーム内に共通した目標があれば、一丸となって目標に向かっていけますし、士気も落ちにくいです。ということは、この側面から見れば、「プレイするならうまくなって、試合に勝ちたいよね」というのも、当然に理解できます。
早期に専門家になること
あくまでも私の意見なのですが、小学生のうちは、いろんなスポーツを体験した方が良いような気がしています。なんなら、スポーツ以外でも、英語やピアノ、ダンスなんかも体験した方が良いと思います。(英語は中学生から必修ですけど)。スポーツを含め。いろんな事柄(先のピアノ、ダンス含め)に触れることで、その子の可能性を潰さないことの方が大切な気がします。結果的に、中学生や高校生からバレーボールならバレーボールで専門的に打ち込むとかでも、全然遅くないと思います。現に、全日本に選ばれていた選手も、高校生から打ち込んだ選手もいるくらいです。それを見ても、やっぱり小学生から専門的に打ち込むのは、ちょっと早いのかなぁ、という気がしています。
それに、そもそもスポーツは楽しむものなのです。体を動かして楽しむ、という考えが根底にあるのです。決して「強くなる」「試合に勝つ」「うまくなる」が目的ではないのです。
結論は
朝日新聞デジタルによれば、「加盟団体も交えて議論を重ねた上で、今年度中に結論を出したい」とのことなので、ちょっと行方を追いかけたいところです。
あ、私はJSPOの資格を保持しているので、何らか通知は来るのかな。
余談
公認バレーボールコーチ1の講義・試験内容の記事でも書いたのですが、「全国大会に出場するためには、チーム内(ベンチ)に、最低一人は公認コーチ1の資格を保持している指導が必要」なんですが、全国大会がなくなってしまったらどうなるんでしょうね…。まぁ、現在は、指導者になるには資格取得が義務づけられているので、どのみち必要なんですけどね…。